2005.03.23号
Vol. 10 ホリエモンのごはん

お久しぶりです。本日はアグリネタからちょっと脱線した話題を。
ホリエモンことライブドアの社長、堀江貴文氏が連日マスコミを騒がせていま
すね。ちょっと前まではIT企業なんて、社会の隙間に誕生したオタク企業だっ
たのに、ネット社会になって力をつけたソフトバンクや楽天などが次々と企業
買収を仕掛け、いまやその社会的影響力は絶大なものになってきました。

彼らの存在が、実は食の世界も微妙に変えつつあります。ホリエモンがネット
上でブログと呼ばれる日記を公開しているのをご存知ですか?IT企業の特徴と
して、社長が日々「だれだれと会った」「こんなことを考えている」「何を食
べた」などという日常をネットで公開し、自分の理念や事業内容をそれとなく
アピールし、それが投資家の判断材料になったりしています。ユーザーにとっ
ても、ブログを通して社長の生の声を聞くと、親近感が沸くというものです。

さて、ホリエモンの日記は、マスコミの先を行く情報が得られるかと期待して
見ても、大した内容じゃありません。でも外食関係者にとっては「どこで食事
した」などという店名が気になるところ。さすがにきちんと店の紹介ページ
(ライブドアサイトの登録店だったりする)にリンクを張っているので、店に
とっても宣伝効果があるでしょう。

ところでいま、都心ではフレンチやイタリアンのような専門店で、深夜営業化
が進んでいるらしい。バブル崩壊後、これらの専門店では、主要顧客だった接
待需要が激減し、代わって主婦層をターゲットにランチ需要に力を入れてきま
した。しかし、最近のリストラブームで、管理職といえどもダンナの明日は分
からず、主婦もお気楽に高級ランチとしゃれこめなくなってきました。

そこで目を向けたのが、ホリエモンのような躍進目覚しいIT関連のエグゼティ
ブたちです。彼らの日常はほとんど昼夜が逆転し、夜10時に会議なんて当たり
前。ところが会議終了後に食事をしようと思っても、きちんと食事できる気の
利いた店は少ないのが現状。ほとんどの高級フレンチやイタリアンのラストオ
ーダーは夜9時と早すぎるからです。高度成長期以降に生まれた彼らはグルメ
で、店の選択にもこだわりがあります。1日の激務を癒すべく、グラスを傾け
ながら、気楽にかつ本格的な料理が味わえるという、彼らのニーズを満たすフ
レンチやイタリアンがあれば、足を向けてくれることは間違いなし。

ということで、ランチ営業を止めて、ラスト・オーダーが午前零時や2時とい
う深夜営業に踏み切るレストランが出てきたのです。来店した彼らがネットで
宣伝してくれれば、一般のお客さんも増えるというもの。

先日私がインタビューしたシェフたちも、深夜営業型のレストランをオープン
しています。あるシェフいわく「深夜営業なんて水商売だから、本当はやりた
くない。でもやりたくないと思っていることが、実はお客さんが望んでいるサ
ービス。そこに莫大なビジネスチャンスがあるのさ」。

アルコール比率を高くして、居酒屋的な使い方を提案していくことも、生き残
りのひとつでしょう。時代を読み、ターゲットを誰に絞るか、臨機応変に対応
する。腕のいいシェフでも、こうした営業感覚が欠かせなくなっているようで
す。

堀江氏の日記 http://blog.livedoor.jp/takapon_jp/

○阿多笑子(あた・えみこ フードジャーナリスト)
 E-Mail:emikoen@yahoo.co.jp