2004.08.11号
Vol. 9 異業種コラボのテーマ・カフェ

今回はニューコンセプトの新しいカフェのお話です。その名も「トラベルカフ
ェ」。旅行情報を提供するカフェとして全国展開を目指していて、その1号店
が7月12日、横浜・JR関内駅北口前にオープンしました。横浜といえば「港」
「客船」ですね。1号店のテーマもクルーズで、船のキャビンを思わせるオー
プンデッキなど、船員の制服を模倣したユニフォームなど、クルーズの雰囲気
を醸し出しています。店内にはクルーズ関連の雑誌やパンフレットも置かれ、
自由に閲覧できます。

なにより圧巻なのは、店内の50インチのプラズマTV5台から、終始流されるク
ルーズの映像。大海原をすべるように走る白い豪華客船、陽光を浴びるデッキ
のプール、世界の料理が堪能できる贅沢なバイキングなどなど。でも、「クル
ーズの世界旅行なんてあこがれちゃうけど、庶民には高嶺の花。カクテルドレ
スだってもってないし・・」と思っていたら、「そんなことはありませんよ。
クルーズにもいろんなタイプがあって、途中下車もできるし、10万円台のクル
ーズもあるんですよ」とはトラベルカフェの代表、永嶋万州彦氏。

永嶋さんといえば、ドトールの専務を務め、その後プロントなど数々のカフェ
チェーンを手がけてきた、カフェ業界では著名なコンサルタント。今回は永嶋
さん自らが代表を務め、満を持してオープンしたカフェですから、大変注目さ
れています。でもなぜ「トラベルカフェ」なんでしょう?

「たとえば今回のテーマのクルーズですが、みなさんが手が出ないと思い込ん
でいるように、消費者に情報を提供する場所がないんですよ。旅行代理店でも
パンフレットを扱っているところはごくわずか。結局、船会社は顧客と相対で
やりとりしていたのが現状だったのです。ですから今回のコンセプトを持ちか
けたところ、船会社からはすぐに反響がありました」。

現在、商船三井など大手の船会社6社と旅行代理店5社の11社と提携。トラベ
ルカフェはこれらの企業に宣伝のための場所貸しをしています。いわば異業種
とのコラボレーションによって生まれたカフェ。でもクルーズの雰囲気はある
ものの、一見すると普通のカフェと変わりません。パンフレットもあまり目だ
たないように置かれています。「もっとクルーズの情報を扱っていることをお
客さんにアピールしたほうがいいのではないですか?」。

「そこが考え方の違いですね。お客さんがなぜ旅行代理店に相談しづらくなっ
たのか。いまの旅行会社は低価格競争で人件費ぎりぎり。”旅行に行きたいけ
ど、いつどこに行こうかまだ決まっていない”という予備軍にとても対応でき
なくなっているんです。窓口にきたお客さんには即契約してもらわないとコス
トが合わない。ここはそうした予備軍のお客さんが、カフェでゆっくりくつろ
ぎながら、なんとなくクルーズの情報が分かる。それで興味があったら資料提
供できる。そういう場なんです。押し売りしたらカフェでなくなってしまうん
ですよ」。

カフェのプロの経営する店ですから、カフェ部門だけでも十分採算ができる仕
組み。世界のオークションコーヒーを採用するなど、フードにもこだわり、セ
ルフながら客単価は650円と高め、1号店の1日来客店は1000人くらいを想定し
ています、コラボ企業からもらう宣伝費は「家賃相当分くらいあれば十分」と
いうビジネスモデルです。旅行会社にとっては、パンフレットの置き場所や人
件費に自前でお金をかけるより安上がりというメリットがあります。

1号店のテーマは「クルーズ」でしたが、次回にはJR九州との企画で「トラベ
ル・トレイン」ができる予定。ここでも車窓から見える風光明媚な映像や地元
の観光を紹介していきます。またハトバスとも話が進んでいて、地方の都市で
、東京のトレンドスポットを紹介する「トラベル・トウキョウ」も全国展開す
る予定。テーマごとにコラボする企業は変わります。話題性が豊富なことから
、新しいビルのデベロッパーからいくつも誘致の話がきているとか。FC展開で
100店舗ほど作る計画で、5年後には店頭公開も目指しています。

「こんな旅をしてみたいな」とゆっくりおいしいお茶を飲みながら思いを馳せ
ることができる素敵なトラベルカフェ。旅行好きにとっては楽しみな場所がで
きそうです。

○店舗データ
 住所:神奈川県横浜市中央真砂町3‐33 セルテ1階(JR関内駅北口)
 営業時間:7:30〜22:00(年中無休)
 席数:109席(店内69席・テラス40席)
 詳細HP:http://www.travelcafe.co.jp/cafe/cafe/index.html

○阿多笑子(あた・えみこ フードジャーナリスト)
 E-Mail:emikoen@yahoo.co.jp